FXの最大の特徴は、「異なる通貨を移動(交換)すること」でした。
円と米ドルを交換する(円で米ドルを買う)、円とユーロを交換する、米ドルとユーロを交換するなどです。
でも、異なる通貨を移動(交換)するだけで、どうしてお金が増えるの?と思いませんか。
例えば、あなたが10万円と1,000米ドルを交換する(10万円で1,000米ドルを買う)として、何がどうなって10万円より増えて返ってくるのか?ということです。
※この例では1米ドル=100円としています。
この疑問を解決するためには、「為替レート(為替相場)」について理解しなければなりません。
言い換えれば、「為替レート」さえ理解してしまえば、FXでお金が増える仕組みをほぼ理解したと言えるでしょう。
このページでは、「為替レート(為替相場)」とはなにか?どのように決まるのか?を解説します。
FXを始めるあなたが長く付き合うことになる「為替レート(為替相場)」を理解して、お金が増える理由を知れ!
あなたの10万円どうなっちゃうの?
……それでは早速、いきましょう。
このページの目次
1.為替レートとは交換比率
「為替レート(為替相場)」とは、1米ドル=100円などのような通貨の交換比率を指します。
- 米ドル/円が110円なら、1米ドルを買う(交換する)ためには110円が必要。
- ユーロ/円が130円なら、1ユーロを買うためには130円が必要。
上記は「円」が関係するペアですが、当然に他の通貨ペアの交換比率もあります。
- ユーロ/米ドルが1.2米ドルなら、1ユーロを買うためには1.2米ドルが必要。
- ユーロ/英ポンドが1.3ポンドなら、1ユーロ買うためには1.3ポンドが必要。
2.為替レートは常に変動している
次のようなニュースを見聞きしたことがありませんか。
朝のニュース
「ニューヨーク外国為替市場で円相場は、前日比45銭円高ドル安の、1ドル=111円95銭~112円10銭で取引を終えました」
夜のニュース
「東京外国為替市場で円相場は~で取引を終えました」
このニュースこそ、為替レートを報じているものです。
ここで誤解しがちな、且つ、とても重要なポイントがあります。
ニュースでは「~で取引を終えました」と報じられることもあるため、なんとなく「あぁ、今日の取引は終わったのか」という印象を持つ人もいるかもしれません。
ですが、外国為替市場は、「東京外国為替市場」や「ニューヨーク外国為替市場」だけではありません。主に次のような外国為替市場があります。
外国為替市場 | 国 | 取引時間帯 (日本時間) |
---|---|---|
ウェリントン | ニュージーランド | 05:00~13:00 |
シドニー | オーストラリア | 07:00~15:00 |
東京 | 日本 | 09:00~17:00 |
香港 | 中国 | 10:00~18:00 |
シンガポール | シンガポール | 10:00~18:00 |
フランクフルト | ドイツ | 16:00~24:00 |
チューリッヒ | スイス | 18:00~02:00 |
ロンドン | イギリス | 18:00~02:00 |
ニューヨーク | アメリカ | 21:00~06:00 |
※取引時間帯は標準時間(冬時間)における目安です。
どの外国為替市場(国)でも取引時間帯は、現地時間の9:00~17:00頃を中心とした10時間ほどです。
しかし、世界規模でみれば、24時間どこかしらで取引が行われています。上表の通り、東京での取引が終わる頃にはフランクフルトでの取引が始まっていますし、フランクフルトでの取引が終わる頃にはニューヨークでの取引が始まっているようにです。
それらの間にも各国での取引が並行しています。
つまり、外国為替市場は24時間途切れることなく取引が行われ、為替レートは24時間常に変動しているということです。
※土日はお休みですので、日本時間で言えば、「月曜早朝~土曜早朝」が1週間のサイクルです。
3.東京外国為替市場という建物はない
東京証券取引所という株の取引をする建物があります(東京都中央区)。
ニュースキャスターの後に取引映像が映ることもありますよね。
一方で、東京外国為替市場のような、外国為替の取引をする建物はありません。
ニューヨークにもロンドンにもありません、どの国にもありません。
外国為替市場の「市場」とは、例えば野菜や魚が売買される場所(市場)ではなく、野菜や魚を売買する人などの領域(市場:マーケット)を指します。
日本のマーケットを東京市場、イギリスのマーケットをロンドン市場、アメリカのマーケットをニューヨーク市場と呼称しているにすぎません。
ですから、上表に掲載していない市場(国)でも外国為替の取引は行われています。上表は取引数が多い主な市場と理解してください。
また、株は取引所で集中的に取引される「取引所取引」ですが、為替は売手と買手が1対1で電話やコンピューターを介して取引する「相対取引(店頭取引)」です。
ひとつの場所に集る必要はなく、各々の場所から取引に参加できるため建物(特定の場所)は不要なのです。
4.すべての為替レートの基本は、インターバンク市場の為替レート
4-1.インターバンク市場と対顧客市場
外国為替の取引には、銀行、証券会社、ブローカー、機関投資家、一般の企業や個人(あなたや私)が分け隔てなく参加することができます。
但し、各国の外国為替市場は、それぞれ大きく2つに分別されています。
ひとつは、「インターバンク市場」です。
これは、一部の銀行、証券会社やブローカーなどだけが参加できる市場で、一般の企業や個人は参加することができません。
売買の最低単位は100万通貨単位で、1日当たり2兆米ドルものお金が取引されています。
もうひとつは、「対顧客市場」です。
機関投資家、一般の企業や個人が参加できる市場です。
個人が行う、銀行を窓口とした外貨預金や、異なる通貨への両替、FX業者を窓口としたFXなどは、この対顧客市場での取引に当たります。
4-2.すべての為替レートの基本は、インターバンク市場の為替レート
インターバンク市場の為替レート
「インターバンク市場」の為替レートは、各通貨の需要と供給のバランスによって常に変動しています。
(もっとも、これは為替に限らず、経済活動の原理原則ではありますが)
「円が強い」や「円が弱い」のような表現が用いられることがありますが、これは円の需要の高低を強弱で表現しているものです。
そして、前出の例、「ニューヨーク外国為替市場で円相場は、前日比45銭円高ドル安の、1ドル=111円95銭~112円10銭で取引を終えました」という報道は、ニューヨーク外国為替市場が終わった際の、ニューヨーク外国為替市場の「インターバンク市場」の取引結果(為替レート)を報じているのです。
対顧客市場の為替レート
一方で、「対顧客市場」の為替レートには、「変動しないもの」と「変動するもの」があります。
為替レートが変動しないもの
- 銀行などを窓口とした外貨預金
- 銀行などを窓口とした異なる通貨への両替 など
ここに挙げたものは、為替レートが1日間、変動しません。
取引の相手となる各銀行などが、インターバンク市場の10:00頃時点の為替レートを参考に、その日の為替レートを提示します。この提示される為替レートは「公示レート」や「仲値」と呼称されます。
そして、その1日間は、公示レート(仲値)に基づいて取引が行われます。
※公示レート(仲値)は各銀行などによって異なります。
為替レートが変動するもの
- FX業者などを窓口としたFX など
ここに挙げたものは、インターバンク市場の為替レートに連動して、常に変動します。
※この為替レートも各FX業者などによって異なります。
「変動しないもの」と「変動するもの」がありますが、いずれも、インターバンク市場の為替レートが基になっているという点は同じです。
5.あなたの10万円はどうなっちゃう?
あなたは、10万円と1,000米ドルを交換し(10万円で1,000米ドルを買い)、1,000米ドルを保有している状態でしたね。
この時の為替レートは「米ドル/円=100円」であったということです。
よって、「インターバンク市場」の為替レートが次のように変動すれば、10万円よりも増えて返ってきます。
「米ドル/円」が、100円から110円に変動すれば、1,000米ドルは11万円に交換できますから、1万円増えたということになります。
「米ドル/円」が、100円から90円に変動すれば、1,000米ドルは9万円にしか交換できませんから、1万円減ったということになります。
※ここでは、窓口となるFX業者などの手数料は考慮していません。
これが、FXでお金が増える仕組みの基本です。
いかがでしょうか。
外国為替市場(対顧客市場)に参加するあなたにとって、為替レートがどれほど重要な指標になるか理解してもらえたと思います。
以上、今日は「為替レート(為替相場)」について学びました。