我が家の庭には何本かの樹木がある。梅の木だったり、柿の木だったり、よくわからない木だったり。
そして、その中の1本が問題を抱えている。
伸びた枝が敷地を飛び出し、電線にかかってしまっているのだ。
電線のなにかをなにかして事故や停電を誘発する可能性もある。
電線には触っちゃいけないと教えられてきたから、自分で剪定するわけにもいかない。
……というわけで、剪定を東京電力に依頼してみました。
結果的に剪定はしてもらえたけど、「剪定してもらえない可能性」も、「剪定しもらうことによって後悔する可能性」もあるため、同じような状況に悩んでいる人のために記録を残します。
電力会社(今回は東京電力)は伸びて電線にかかってしまった枝を剪定してくれるのか?「依頼時の心構え」や「彼らの剪定品質」を知って後悔のない選択をしろ!
それでは早速、始めましょう。
このページの目次
1.伸びた枝が電線にかかってしまったら?
1-1.どんな状況?
我が家のケースをお話します。
↓問題の樹木を見上げた写真です。中央に写っている電線に枝がかかってしまっています。
↓よく見てみると……かかっているどころか、突き抜けとるがなっ!
……自分で剪定できるかな?
1-2.自分で剪定する?
仮に脚立などを使えば届く範囲であっても、まずは管轄の電力会社に連絡しましょう。
電力の小売りが全面自由化される前の、一般電気事業者を指します(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)。
なぜなら、自由化後も電線などの送電網は元々の電力会社が所有し、維持管理しているからです。我が家も、東京電力ではない小売電気事業者に乗り換えていますが、電線に関する連絡先は東京電力で間違いありませんでした。
電線には触れてはいけません。
「TEPCO(東京電力ホールディングス)」からも注意喚起されています。
1-3.電線に近づく場合には電力会社に連絡すること
伸びた枝の剪定、引っかかったドローンやラジコンの回収、DIY作業など、電線に近づくときには必ず、電力会社に連絡するようにしましょう。
枝の剪定をしてくれるかどうかは別としても(詳しくは後述)、連絡は必須です。
あなたの軽はずみな行動で、近所一帯の電気が停まったら?電話回線が不通になったら?、文句を言われるだけならまだしも、多額の損害賠償をしなければならなくなる可能性もあるということを認識しておきましょう。
2.電力会社への連絡手順
2-1.窓口を探す
下記の問い合わせ先一覧から管轄電力会社のページに移動し、連絡窓口を探しましょう。
基本的には、「停電・電気の設備に関する問い合わせ窓口」または「管轄支店」に連絡します。
※上記リンク先は当サイトが独自に調査したものです。別の窓口などを案内された場合もご容赦ください。
2-2.状況を伝える
窓口に連絡して、状況を伝えましょう。
私の場合は、こんなやり取りでした。
はい、来てもらえるなら調整してお待ちしています。17時を過ぎるようなことはありませんよね?
2-3.工事担当者の到着を待つ
テキパキと対応してくれるツンデレ系女子(窓口担当者)との通話から1時間後、到着予定時刻を告げる連絡がありました。
その1時間後、工事担当者の方が到着。
……そして、この後、ちょっと雲行きが怪しくなります。
3.電力会社(の工事担当者)の剪定に対する考え方
3-1.電力会社が枝を剪定する理由
「電線にかかった枝を電力会社が剪定してくれる」、これを知っている人は少なくありません。
何を隠そう、私も知っていました(知らない体で電話しましたが)。
しかし、誤解してはならないのは、剪定は、「切ってください!」という依頼ありきではなく、電力会社の都合による「切らせてください」という依頼ありきであるということです。
工事の邪魔になるから、電線を傷つけているから、保安上の問題があるからなど、どうしても必要な場合に電力会社側から「切らせてもらえませんか?」と協力の願い出があるのです。
平たく言うと、すべての「切ってください!」に対応していたら、電力会社が破綻してしまうということです。我が家に来た工事担当者の方も、「昔はやっていたが、今は要望による剪定はほとんどしていない」と言っていました。
(おそらく、電力の小売り自由化や、福島の原子力発電事故などによる影響もあるのでしょう)
ですから、「電力会社に電話すれば無条件で剪定してもらえる」という安易な考えは改めた方がよいです。
工事担当者が現場調査した結果、保安上の問題はないと判断されれば、剪定はしてもらえません。
3-2.保安上の問題を解決する方法は剪定だけではない
工事担当者による現場調査によって、保安上の問題があるなどと判断された場合、剪定してもらえる可能性があります。
しかし、保安上の問題を解決する方法は剪定だけでありません。
下記写真のような「防護管」を目にしたことがあると思います。
出典: 北陸電力 配電線近くの工事・作業
我が家に来た工事担当者がこんなことも言っていました。
「(剪定は)昔はやっていたが、今は要望による剪定はほとんどしていない……防護管を付けるだけのこともある」
防護管を設置すれば安全を守るという電力会社の目的は達成できます。
また、これは私の想像を含みますが……枝を剪定することによってクレームもあるのではないでしょうか。
「こんな風に切られるなら自分でやればよかった」とか、「造園業者が来て切ってくれるのかと思った」など。
わざわざ時間を割いて枝を剪定して、さらにクレームまで出されたらたまったものではありませんよね。
ですから、保安上の問題があったとしても、剪定ではなく、防護管の設置による対処となる可能性もあるということも認識しておきましょう。
3-3.そもそも、NTTの電線の場合もある
一般的な電線には大きく2種類あります。
- 電力会社の電線
- NTTの電線
そして、当然ながら、NTTの電線であれば、電力会社には関係ありません。
電力会社の電線か?NTTの電線か?の見分けは付きにくいと思いますが、現場調査の結果、NTTの電線であれば剪定はしてもらえないということも認識しておきましょう。
NTTの電線にかかった枝の剪定については、平成27年9月14日より有償(有料)化されています。あなたが専門業者を手配するか?NTTに有償で依頼するか?のいずれかであり、少なくとも無償(無料)で剪定してもらえるということはありません。
参考:NTT東日本 電気通信設備保護のための伐木・伐採に係わる費用負担について
3-4.結局、剪定してもらえたの?
雲行きは怪しくなったものの、結局、我が家の枝は剪定してもらえました。
……しかし、剪定してもらえたと言うより、ぶった切ってもらえたと言った方が適切かもしれません。
4.剪定の品質
これは人によっては最重要ポイントになるでしょう。
結論から言っておきます。
電力会社の剪定とは「安全を脅かす枝を排除する」ことです。
剪定する時季、全体のバランス、美しさ、切り口(切り方)、樹木に与える影響など、そんなことは関係ありません。ノコギリなどで手当たり次第に切り落としていきます。
だって、安全を脅かす枝を排除することが目的ですから。
我が家の枝(樹木)がどうなったかお見せしましょう。
BEFORE
AFTER
……なんということでしょう!
電線の間を突き抜けていた枝はもちろん、今後何年かは電線にかかることがないようぶった切られました!
誤解のないよう補足しますが、私に後悔はありません。
こうなることは最初からわかっていましたし、これが私にとってのベストだったからです。
樹木には申し訳ないですが、電線にかかり気を揉むくらいなら、美しくなくてもよいです。そもそも、道路に越境している部分をきとんと剪定しようとすればこうなりますしね。
しかし、あなたはどうでしょうか?
もし、美しさも兼ね揃えたいのであれば、造園業者などの専門家に依頼しましょう。
※必要に応じて、電力会社に防護管などを設置してもらってから剪定してもらいましょう(有償の可能性あり)。
電力会社の剪定に美しさを求めるのはお門違いです。
「電力会社に剪定を依頼する(無償で剪定してもらう) = 美しさは捨てる」と認識してください。
5.パパセンス的まとめ
前記、NTTの参考ページにも記載されていますが、「原因者負担の原則」というものがあります。
電線にかかり安全を脅かしているのはあなたの所有する樹木(枝)ですから、この枝を剪定するのは所有者(原因者)であるあなたの義務であり、その費用はあながた負担して然りです。
電力会社が剪定してくれないからといって、または、電力会社の剪定が美しくないからといって、勝手な勘違いから文句を言うような真似はしないでくださいね。
しかし一方で、「電線にかかっている枝を剪定したい」、「費用はかけたくない」、「美しさにこだわりはないから、きれいさっぱりぶった切ってほしい」という人は、1度電力会社に相談してみることをお奨めします。
以上、パパのセンスが高まれば幸甚です。